4月から新しい環境に移ると、多くの人がストレスを感じるものです。
新しい職場、新しい学校、新しい人間関係など、期待と不安が入り混じった状況が続く中で、徐々に心身に負担がかかっていきます。
特にゴールデンウイークを終えると、その緊張の糸がぷつんと切れるように、一気に疲れが表面化することがあります。このような状況で、何もやる気がなくなってしまうことは少なくありません。
この時期特有の症状から引き起こされる適応障害の一種を、一般に「五月病」と呼びます。五月病は、新しい環境に適応しきれないことからくる精神的な不調であり、無気力感、抑うつ気分、集中力の低下などの症状が現れます。
このような精神的な不調に対抗するために重要な役割を果たすのが、セロトニンという脳内の伝達物質です。
セロトニンは、気分を安定させ、幸福感をもたらす効果があります。
しかし、セロトニンそのものを食事から直接摂取することはできません。そこで重要となるのが、セロトニンの生成に必要なトリプトファンとビタミンB6の摂取です。
トリプトファンは、セロトニンの前駆物質であり、食事を通じて摂取する必要があります。
このトリプトファンを多く含む食品には、赤身の肉、赤身の魚、バナナ、ナッツ類、納豆、味噌、牛乳、チーズなどがあります。
一方、ビタミンB6は、トリプトファンからセロトニンを生成する際に欠かせない栄養素です。
ビタミンB6を多く含む食品には、マグロ、赤身の肉、レバー、鶏むね肉、焼き海苔、ニンニク、ナッツ類などがあります。
五月病を防ぐためには、これらの栄養素をバランスよく摂取することが大切です。
例えば、食欲がない時でもバナナと牛乳を摂ることで、トリプトファンとビタミンB6の両方を補うことができます。
また、納豆や味噌などの発酵食品は、腸内環境を整える効果もあり、全体的な健康に寄与します。
さらに、食事だけでなく、日光を浴びることも重要です。
日光に当たることで体内のセロトニンの分泌が促進され、精神的な安定が図れます。
特に朝の光を浴びることは、体内時計をリセットし、規則正しい生活リズムを保つのに役立ちます。日中に軽い運動を取り入れることで、さらに効果が高まります。
心身のバランスを保つためには、適度な休息とリラックスも必要です。
ストレスを感じた時は、深呼吸やストレッチ、好きな音楽を聴くなど、自分なりのリラックス方法を見つけて実践することが大切です。
五月病は、一過性のものであり、適切な対策を講じることで乗り越えることができます。
新しい環境に適応するのは簡単ではありませんが、健康的な食事と適度な運動、そして十分な休息を取り入れることで、心身を健やかに保ちましょう。
日ごろから準備をしておくことで、五月病に負けず、5月を楽しく過ごしましょう。